学園刑事物語 電光石火 後編

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「俺は、弘武と引き換えにワクチンと抗生物質を渡すつもりだったヨ。代金の回収は考えていなかった」 「僅かだけど、俺の貯蓄は全部渡すよ」   ホーは少し笑っていた。 「僅か過ぎるネ」  俺が無言で怒っていると、ホーは次第に楽しそうになってきた。 「代金は、佳親さんから貰うよ。佳親さんが所有する、天神の土地と引き換えにしたノヨ。天神区は狭いでしょ。殆ど寺社の土地だしネ。だから、俺にとっては凄い価値なのヨ」  ホーは不動産を押さえていたが、気に入らなかったらしい。将嗣は、佳親が不動産を四区のために手放したと知り、必ず借りは返すと宣言していた。 「だから、弘武。代金は気にしないヨ」  ちゃんと取引は完了していたのか。しかし、引き換えにした土地とは、どこであったのだろうか。そこにホーは越してくるつもりであった。  どうやって家に帰ろうかと考えていると、征響がタクシーを呼んでいた。 「征響、俺も一緒に帰る」 「いや、俺達、学校に寄るから」  今日は、私立の練習は休みになっていた。隣接する四区で、感染症が蔓延したと聞き、学校全体で部活動を禁止したのだ。今日は、外出禁止になっている。しかし、征響は学校に寄って、打ち合わせをしてから帰るという。
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