学園刑事物語 電光石火 後編

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 それは、誰であったのだろうか。俺は司馬長老の可能性も高いと思う。海側には藤原家があり。司馬長老は、自分を追い出した藤原家を憎んでいただろう。でも、推測でしかない。 「有明は、どうなるのだろうね」  有明は、様々な菌を死滅させて小康状態となっていたのに、カラスが再生させてしまった。本当に、仁人の時もそうだったが、悪循環が始まると止まらない。  これで、仁人の時と同じように、有明の腕や手が手紙付きで送られてきたら、俺がショック死しそうだ。  藤原はやはり、何もしないというのは嘘であった。俺の頬にキスをして、怒られないか確認している。 「藤原!」  もちろん俺は怒る。 「弘武、俺、本気だよ。恋人は弘武だけにした。だから、キスできた」  それは、カラスに狙われて彼女達が去っていっただけだろう。明日になれば、又、藤原は彼女に囲まれる。 「……由幸、今日はしたくない」  沢山の人が亡くなり、今も何が起こるか分からない。何より、有明が又いなくなってしまった。  広いベッドの上で、蹴りあいながら縄張りを主張する。  主に寄ってくる藤原を、俺が蹴っていた。 「サッカー部って、すぐに蹴るよね」  俺の蹴りは、サッカー部以前のものであろう。 「まあ、弘武が俺のものだと分かったし、眠るか」  やっと、眠る事ができた。  翌日、仁人の感染は抗生物質とワクチンにより鎮静化した。そこには、沢山の死者があった。死者の統計を見て、俺は思い違いをしていた事に気が付いた。 「やっぱり、海堂の仕業かもしれない」  藤原の家には、大広間があり、そこで皆で朝食にしていた。藤原家に泊まり込んでいた佳親と、征響達も大広間で食事をしていた。  俺が名護の姿を探すと、名護は鴉と食事の最中だった。 「名護」  名護が顔を上げて、俺を見ていた。 「藤原先輩と一緒ではないのですか?」 「藤原?どうして一緒なの?藤原は、自分の部屋で眠っているのではないの」  夜中に藤原が、俺にイタズラしてきたので、喧嘩になって部屋を追い出したのだ。その後、藤原とは会っていない。  畳に座ると、俺にも朝食が運ばれてきていた。  朝食は、和食でトレーに乗っている。朝食はパンが多いので、海苔と生卵が、俺には新鮮に見えた。 「海苔!」  海苔に喜んでいると、鴉の赤穂が俺に海苔をくれた。 「赤穂、ありがとう」  志島は、空になった海苔の袋を見ながら、悔しがっていた。
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