学園刑事物語 電光石火 後編

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 俺は必死に首を振る。佳親には、無人島に置き去りにされて、サバイバルさせられた記憶がある。この佳親、見た目は役者のように綺麗であるのに、悪ガキのような一面があるのだ。何をされるか分からない。 「え、嫌なの?じゃ、遊園地は絶対に行くからな!」  冷たい目で、佳親を見てしまった。どこの高校生が、親と一緒に遊園地に行くのだろう。 「弘武。一緒に行く彼女もいないだろう?優花ちゃんに振られたのは、周知の事実になっているよ」  俺の傷口に、佳親が塩を塗ってくる。  俺は最近、彼女に振られた。優花は、親父世代である竹田に惚れているからと去った。 「新しい彼女を作ります!」  でも、なかなか踏み切れないのだ。今でも、体の関係だけという女友達はいるのだ。優花が去って、肉体関係だけでもいいからと、女友達は増えた。それが、肉体関係だけでもいいではなく、肉体関係だけがいいと知ったのは最近であった。  どうも、俺の彼女というのは大変らしい。 「彼女、できるかなあ。藤原君もいるし、名護君もいる。そこに海堂君も加わった状態でしょう?弘武、そっち方面では、物凄くモテるからな」  全部、男ではないか。  あれこれ詮索されているが、俺は、男と肉体関係はない。確かに、近いスキンシップもするし、じゃれ合ったりしているが、それでも、それ以上ではない。 「親父でしょう。息子に彼女ができないならば、応援する方でしょう」  俺は、結構、女の子が好きだ。海堂は分からないが、藤原も名護も、彼女と半同棲している状態だ。肉体関係と、純愛?が分かれてしまっているのは、男なのでしょうがないと思って欲しい。 「応援か。それもいいね。でもさ、弘武。彼女は一人がいいよ。怖いから」  佳親に実感が籠っている。余程、季子は怖いのであろうか。でも俺も最近、季子の怖さは分かってきた。  希子は、何かを察知したのか、キッチンから出て来た。 「弘武君、彼女が出来たら紹介してね」  紹介したら、吟味するのではないのか。どことなく、季子の笑顔が怖い。  希子の笑顔に固まっていると、征響(まさき)が帰宅してきた。征響と一緒に、秋里の姿も見えていた。 「征響。あ、秋里先輩、これ教えてください」  秋里に日本語の解釈を説明して貰った。 「印貢は、言葉は平気なのに、文章の解釈が下手だよね」  秋里が、丁寧に考え方をまとめてくれた。 「弘武。俺には質問はないのか?」
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