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「ほら!」
加川に肩を叩かれて、慌ててさくらは振り向いた。
加川の指が、さくらの頬に見事にめり込んだ。
「くわははは、面白ぇ、今時こんなのに引っかかる奴いるかよ」
こんな時の加川は完全に悪ガキの顔だ。
「これ見て」
スケッチブックの中ほどに、さくらが描かれていた。
「……こんな……いつの間に?」
ほんの少し広すぎる額、微かに上を向いた鼻。
とがった上唇は、さくらが考え事をしている時の癖だ。
着ているのは飾り一つない普段着、肩と腰はしっかりと張っている。
わかってはいてもあまり見られたくない部分ばかりが強調されていて、さくらは複雑な心境だった。
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