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やって参りましたー。
「チョコレート、残ってないかな」
「流石に無いでしょー」
生産性の無い会話をしながらぐるぐる回る。
階をいくつか上がったところに、カップが包まれているようなものがあった。
「何これ」
「盆栽?」
小さい、自宅で作れる盆栽セットなるものがあった。
松とかは分かるけど、桜とか紅葉とか。あるんだねー。
「紅葉あげたら?」
「やだよ。私と名前変わらないじゃん」
そんなにずっと思われるとか嫌だし。
「知り合いに語られたりとか、集まった時に言われたりしたら恥ずかしい」
「考えすぎでしょ」
奴は……やるぞ。
フイと目を外せば、横には野菜を作る、同じく小さい入れ物。トマトや人参、イチゴなど。
家内で植物を育てることでも流行っているのだろうか?ミントは、葉が多いと虫が湧くんだったか?あやふやな記憶が浮上してきたが、宛にならないのでさっさと消した。
「桜だったら、もうすぐ見れないかな」
「1年も経たずに咲くの?」
「咲いたら見に行こうよ。どんなサイズかな」
「確かに。ちょっと気になるかも。でも紅葉」
「は、買わない」
むしろ私が育てたい。
マキからは抗議の声が上がるが、気にせずレジへ行く。変な物かは分からないけど、あの人達は植物が好きだし。育ててくれるだろう。
「育っても、四月に休みとかあるかなー」
「私は土日休みー」
「大学どうなるかなー」
「え、無視?」
そのまま私達は、2人で人ごみに紛れていった。
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