2度目の桜

1/2
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/3ページ

2度目の桜

4/5 某所 ぶわっ と強い風が吹いて、たくさんの桜が散り、地面に落ちていた花びらも一斉に舞いあがる。 「うわあ、すごい、桜吹雪!綺麗!」 乱れる髪を抑えながら、愛華ははしゃいだ声をだした。 「陽一さん知ってます?落ちてくる桜の花びらを、5枚、地面に着く前にキャッチできると願いごとが叶うんですって!今なら取り放題ですよ!」 ヒールの高いパンプスを履いているにも関わらず、小さな子供のようにパタパタと動き回り、必死に桜の花びらを掴もうとする愛華の様子を、陽一は微笑ましく思いながら見つめていた。 「あんまりはしゃぐと転ぶよ。」 「平気ですよーう、…おっと!」 カクッと足が外を向き、倒れそうになった愛華を、陽一は右腕で支える。 「ほら言ってるそばから。」 陽一が呆れながらも笑って愛華の頭をぽんぽんと優しく撫でると、その腕の中で愛華は照れ笑いを浮かべた。 「えへへ……。」 体勢を立て直し、そのまま2人は手を繋ぎ歩き始めた。 「でもほらっ、5枚集まったんですよ。」 愛華はぱっと手を広げ、手のひらの中の花びらを見せる。 「ん、ほんとだ。何お願いするの?」 「んふふ~」 「なんだよ内緒かぁ?」 2人は無邪気に笑いあう。 「今年も陽一さんとお花見に来れて嬉しいです。」
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!