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2度目の桜
4/5 某所
ぶわっ
と強い風が吹いて、たくさんの桜が散り、地面に落ちていた花びらも一斉に舞いあがる。
「うわあ、すごい、桜吹雪!綺麗!」
乱れる髪を抑えながら、愛華ははしゃいだ声をだした。
「陽一さん知ってます?落ちてくる桜の花びらを、5枚、地面に着く前にキャッチできると願いごとが叶うんですって!今なら取り放題ですよ!」
ヒールの高いパンプスを履いているにも関わらず、小さな子供のようにパタパタと動き回り、必死に桜の花びらを掴もうとする愛華の様子を、陽一は微笑ましく思いながら見つめていた。
「あんまりはしゃぐと転ぶよ。」
「平気ですよーう、…おっと!」
カクッと足が外を向き、倒れそうになった愛華を、陽一は右腕で支える。
「ほら言ってるそばから。」
陽一が呆れながらも笑って愛華の頭をぽんぽんと優しく撫でると、その腕の中で愛華は照れ笑いを浮かべた。
「えへへ……。」
体勢を立て直し、そのまま2人は手を繋ぎ歩き始めた。
「でもほらっ、5枚集まったんですよ。」
愛華はぱっと手を広げ、手のひらの中の花びらを見せる。
「ん、ほんとだ。何お願いするの?」
「んふふ~」
「なんだよ内緒かぁ?」
2人は無邪気に笑いあう。
「今年も陽一さんとお花見に来れて嬉しいです。」
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