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第3章 春のバースデーと初夏のお休み(続き)
こんな言葉じゃ、全然、足りない。
僕の心の中には、もっともっと熱くて、大事な彼女への想いが
いっぱい詰まっている。
なのに、どうして僕は、いくつになっても自分を上手く表現できないのか
歯がゆくなる。
そんな気持ちに視線を落とす僕の手の中から、
彼女は、そっと細いグラスを取るとテーブルに置いた。
そして、
「冠くん。私も、どんな時も一番冠くんが好きよ」
優しく囁くように言いながら、僕を静かに抱きしめる。
「ナッちゃん……」
僕は、彼女の肩に顔を埋めてゆっくりと息を吸った。
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