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甘くて、優しくて、僕の中を幸せで満たしてくれる彼女の匂い。
それが鼻孔をゆっくりと抜け、僕の中に流れてくるだけで
すごく安心する。
そして、そんな安心と、優しく僕の背を撫でてくれる彼女の手の温もりが
僕の中で燻る欲情も落胆も、それを隠したがる姑息な自分も
徐々に溶かして、消してくれる。
「ナッちゃん。お休みは、二人でずっと仲良くしましょう?」
「うん」
フフッ……。
頷いた彼女の声が、いつもの細い笑いになって僕の耳殻を微かにくすぐる。
けれどそれは、僕の中の欲情を再び目覚めさせることなく、
温かく心地よい愛情に包まれる中で、
僕は、大好きな彼女の匂いに、ゆったりと身を委ねた。
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