第3章 春のバースデーと初夏のお休み(続き)

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甘くて、優しくて、僕の中を幸せで満たしてくれる彼女の匂い。 それが鼻孔をゆっくりと抜け、僕の中に流れてくるだけで すごく安心する。 そして、そんな安心と、優しく僕の背を撫でてくれる彼女の手の温もりが 僕の中で燻る欲情も落胆も、それを隠したがる姑息な自分も 徐々に溶かして、消してくれる。 「ナッちゃん。お休みは、二人でずっと仲良くしましょう?」 「うん」 フフッ……。 頷いた彼女の声が、いつもの細い笑いになって僕の耳殻を微かにくすぐる。 けれどそれは、僕の中の欲情を再び目覚めさせることなく、 温かく心地よい愛情に包まれる中で、 僕は、大好きな彼女の匂いに、ゆったりと身を委ねた。
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