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第4章 今年は二人だけで
六月半ばの、小雨模様の週末。
私は、久しぶりに千奈美のマンションに遊びに来ていた。
「さすがに外は煙ってるね」
ここは、都心近くの高層マンション。
和馬さんの仕事柄、どうしても夜中までの仕事になることも多いらしく、
郊外マイホームは難しいらしい。
そしてこの日は、偶然、
その和馬さんも、冠くんも、出張中。
実は私たちも、春物新作が出る頃から互いに仕事が忙しくなり、
お陰で、ランチすら一緒に出来なくなっていた。
だからこの日は、久しぶりに一緒のランチ。
「適当に、見繕っちゃったよ」
私は、デパ地下で買ってきた品物を大きなダイニングテーブルに
次々と広げていく。
そして千奈美は、グラスを二つ用意してくれ、
間もなく、程よく冷えた白ワインと一緒にランチが始まった。
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