第22章 苦渋の決断

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それから懐仁様は長官や女官たちに人払いを命じると、一人で庭園へと向かったのでした。 「…一体何故、斯様な事になってしまったのだ…余はどうすればよいのだーー」懐仁 懐仁様は一人静かに庭園を散策しながらそう呟きながら深くため息をついたのでした。 懐仁様にとって佐倉宮様は大事な皇女様との唯一のお子であり、また愛おしい大切な我が子でした。 そして懐仁様が佐倉宮様よりも皇女様を選ぶ事など、皇女様自身が一番望まない事だと言うことを懐仁様はわかっていたのでした。 ですがそれでも、懐仁様にとって皇女様も大切な何よりも変え難い愛しい女人だったのです。 そして懐仁様は皇女様と過ごした日々を思い出していたのでした。 そして共に笑い合った日々は懐仁様の中でどれだけの歳月を経ても色あせることの無く、いつまでも懐仁様の心にあったのでした。 そして懐仁様は静かに涙を零したのでした。 それからしばらくして陽が沈み月が昇る頃、長官が一人で懐仁様のもとまで来たのです。
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