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「本当に捨てろとは言ってないから。まあ、困った時は俺を呼べばいい。助けるくらい、簡単だからな」
『俺を呼べ』『助ける』
そんなにあっさり言わないで、助けることが簡単だなんて言わないで、と美愛は泣きたくなった。
その言葉は特別なんだ。
昔、言われた魔法の言葉は、これまでの美愛の唯一の支えであり、救いだった。
例え叶えられないと分かっていても、『生きろ』と言われているようで縋っていた言葉だ。
だから、本人からあっさり言われると複雑で仕方がない。
まるで約束を覚えていて、それを守ってやると言われているようで、つい期待しそうになる。
そんな甘い考えでは、これから先、独りで生きていけないのに。
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