東雲色

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開いてしまった目を再び固く閉じて、尚も拒絶しようと激しく左右に頭を振った。 するとクラクラとしてきて、頭痛も酷くなる。 「ど、うして……!」 どうして、また出逢ってしまったの。 どうして、あんな酷いことを言ったのに追いかけてきたの。 どうして、優しい声で名前を呼ぶの。 いろいろな『どうして』が美愛の頭の中を駆けずり回り、それに引きずられるように、だんだん気分も悪くなっていく。 ふらつき始めた身体を建て直さなくては、と目を開こうとしたのに、今度は目を開くことができない。 傾いていく身体も言うことは聞いてくれず、美愛は真っ暗な世界へと意識を落とした。 .
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