東雲色

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美愛に心の中で謝罪しつつ、その身体を抱き上げる。 あまりに軽すぎて、莉生は胸が締め付けられ、呼吸を忘れてしまいそうになった。 どうしたら、こんなにも軽くなるんだろうか。背が低いから、こんなものなのか。いや、絶対にそれだけじゃないはずだ。 いろいろ考え、感じながらも、莉生はまったく危なげなく、美愛を医務室まで運んだ。 * 真っ白の清潔なシーツに、真っ青な美愛の顔。 寝かせた時に外した眼鏡は床頭台に置いてあり、今は隠されていた美愛の顔がよく見える。 ただし、しっかり目は閉じられてはいるが。 莉生は起こさないように、人差し指を使って慎重に美愛の前髪を横に流し、もう少しよく見えるようにして、じっくり見つめてみた。 こうしていると、幼い頃の美愛とあまり変わっていないことが分かる。
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