1

3/8
前へ
/8ページ
次へ
「つねちゃまー! またニキビできちゃったよー!」 「・・・・・・いちいち、どうでもいいことを報告してくるな。俺はお前のニキビも快便も興味ない」 朝に挨拶より先に便通やらニキビ報告してくるのは、同じクラスメイトの安岡千夏。 ちなみに、つねちゃまなんてふざけたあだ名で呼んでくるのも、こいつだけだ。 常美好久(つねみよしひさ)が俺の本名。 だが、別にこいつは嫌いじゃない。 安岡は俺に全く異性として下心ありで接してこないからだ。 もし、そうだとしたら好きな相手にニキビと便通の報告はしないだろう。 安岡はボブショートで細身。俺と目線も同じくらいの長身。 170センチあるので、女子として見ている男子も少ないようだ。 「チョコは油の塊だ。食うな」 「でもね、チョコレートの主成分のカカオはカルシウム、鉄分、マグネシウム、亜鉛が含まれてて昔は薬としても使われたくらいなんだよ。本当に悪さをしているのは実は砂糖なの」 「チョコレート菓子はチョコと砂糖のコンボだが」 「うう」 安岡はそう言いつつ、鞄からポッキーを出した。 そして俺が嫌いなのを知っているくせに「ほれ」と差し出す。 俺はいつもの如く「いらん」と機嫌悪く言う。
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加