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そういったクソゲーの中で、真緒は『難易度が高過ぎて、やる気が失せてしまうゲーム』を好んでいた。それこそ、世間では神ゲーなどと称される良作と並べるほどに。
――景色や血、キャラクター等々、リアルさに関してはかなりレベルが高い。が、これといって説明らしい説明もなくプレイ時間四時間でようやく進むシナリオに、初見で分かるはずもないイベントが完全に帳消しにしている。
考えれば考えるほどにクソゲーだった。出会ってしまった。この胸を占める想いを、そうとしか表現出来ない。
――よくやった姉貴。帰ってきたら褒めてやろう。
脳内で自らの姉に上から目線で礼を述べ、オルビスからソフトを取り出して眺める。そして、ちらとベッドの横に位置するガラステーブルを一瞥して微笑んだ。
真緒がこのゲームと出会ったのは四時間ほど前。友人と出掛けて家に帰って来たら、部屋のガラステーブルの上にオルビス用ソフトが裸で置いてあったのだ。恐らくはゲーム会社に勤めており、同時にゲーマーでもある姉が置いていったのだろうと期待してプレイしたら案の定クソゲーだった。
弟にクソゲーを渡すというのも変な話だが、真緒がクソゲー厨なのは家族はもちろん友人も知っていることなので疑問はない。
ぐぐっと伸びをすると、肩や首がポキポキと音を立てる。友人から連絡が来ていないかを確認するため、携帯端末を手に取り待受画面を開く。
「……ん?」
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