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「非情で冷酷……本当に英雄なのか怪しいくらいだ。恐ろしいね」
「はっ、英雄は皆優しいという変な理想のほうが、俺には恐ろしく思えるけどな」
ジークハルトが馬鹿にするように鼻で笑うと、ルカは諦めたようにため息を漏らし、そして淡々と言葉を紡いだ。
「本当に英雄らしくないな、きみは。まあいい、本題だ。きみたちがそこから脱する方法は二つある」
「二つ?」
意外にも多い、と思ったが、すかさずそれを否定した。
――恐らく、一つはさっき言った方法だろう。
ジークハルトの予想を肯定する形で、ルカが一つ目の方法を告げる。
「もう察してるんだろうけど、その通りだよ。一つ目はきみが死ぬことだ」
「論外だな、二つ目は?」
ジークハルトの問いに少し間を取ってルカは答えた。そのとき彼がどんな表情をしていたのか、ジークハルトには知る由もない。
「二つ目は――裏切り者を殺すことだ」
ルカの言葉を聞いて、ジークハルトはすっとメンバーの顔に視線を走らせた。各々が態度や表情で動揺を露わにしている。いきなり裏切り者が混じっている宣言をされたのだから当然だろう。
「まあ、唐突にそんなことを言われてもわけが分からないと思う。どういうことか知りたいだろう。安心してくれ、ちゃんと教えてあげるよ」
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