0000 ラシュタットの白き英雄

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「……随分と親切だな」 「デメリットがないからね」  皮肉を軽く流して、ルカは言葉を続けた。 「さて、ここまでぼくはまるでぼくが術者であり、ぼくだけが犯人であるかのように語ってきたが、実はこの罠の術者はぼくだけじゃない」 「……この中にいると?」 「うん。まあ、術者というよりかは協力者なんだけど」  肯定に周囲のざわめきが増す。  ――嘘をついているという雰囲気はないが……こんなにぺらぺら喋る辺りに怪しさはある。  ジークハルトの疑念を察したのか、ルカがそれを否定した。 「ちなみに嘘じゃないよ。まあ、信じるかどうかはきみたち次第だけどね」 「それを探し出して殺すより、壊すほうが早そうだな」  ジークハルトが壁をこつこつと叩きながら言う。 「ああ、それについてだけど、壊すのは無理だよ。多分、ぼくでも無理だ」 「どうして言い切れる?」 「どうしてぼくが一人で実行しなかったのか、気にならない?」  問いに問いを返され、少々苛立ちながらも言葉の意味を考えてみる。  ――強度を上げるためか? いや、それならわざわざ一緒に中に入る必要はないか。単純に誘き寄せるためと考えることも出来るが……。     
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