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しばらく考えてみてもピンとくる理由が浮かばない。頭を使うのは苦手ではないが、まどろっこしいのは好きじゃない。だいたい、もうあまり時間がないのだ。
「全く分からん、お手上げだ」
さっさと話せとばかりに言い放つジークハルトに、ルカは満足気に話し始める。
「この術はぼくが協力者に術式を埋め込むことで、協力者を基点に発動している。そして本来、一度発動してしまえば協力者が死んだところで解除はされない仕様だ」
「なら――」
「元々は、ね」
意味あり気に被せられた言葉に、ジークハルトは続きを促すように口を閉じる。
「元々はそうだったと言うからには、今はそうではないということになる。それは実際その通りで、現在この術は協力者が死ぬことによって解除されてしまう。では、なぜそうしたのか、だ。一見、わざわざそんなことをする理由はないように思える。けれどそんなことはない。魔術というものは、デメリットを付与することで、一点を特化させることが出来るからだ。さて、ここまで話せば分かるだろ?」
ルカの言葉通り、ジークハルトには大方の予想がついていた。しかし、それをうまく飲み込めない。言い換えれば、信じたくない。
「……お前、そいつの命を賭ける代わりに、これの強度を上げたのか?」
「正解」
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