願望!

2/3
前へ
/3ページ
次へ
春、桜の蕾が芽吹く頃…。 ─── 新たな人生の門出を迎える者達を見定める。 空を、大地を、世界を淡く桃色に染め渡らせる頃…。 ── 其々の明日へ別れを惜しみ、涙する者。 ── 誰かの夢を願い、旅立ちを祝う者。 ── 夢への扉の中へ新人を迎える者。 ── 新たな出会いに心を弾ませる者。 ── 落胆し、嘆く者。 多種多様な者を桜が満面の笑みを浮かべ、見守る。 世界を淡く桃色に染め渡らせた花弁がはらり、はらり、と次々と儚く散る頃…。 ─── 新たな人生の門出を迎えて、巣だった際に出る不要になってしまった物達。 そんな彼らを迎えに来てくれる者が、機械の独特の声と共にゆっくりと歩みよる。 "あ、来た来た。 こっちもお願いしまーす。"
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加