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第一章 月島神社の神シオツチ降臨
春風が優しく吹く青空の下で俺、香坂祐也はベランダで休憩していた。
後ろを見ればダンボールがいくつも重なっている。
今は引越しの荷を降ろし作業途中。
今年からこの鷹崎市にきた。前は山の田舎町に住んでいたのが、少しだけ都会デビューを果たした。
本当は一人暮らしの予定だったのだが……。
「お兄ちゃん! なにサボってるの? まだ少し残ってるんだよ。早く作業してよ。まったく、私が一緒に来て良かったよ」
綺麗な黒髪にカチューシャを付けた俺の妹である香坂亜海菜が痛い言葉を投げてくる。
俺は一人暮らしたかったのに。
「今からやるよ」
亜海菜は俺がここに来ることに私も行くときかなかった。
何度もあきらめろと言っても言うことを聞かず、何度交渉をしたか。
最初は俺の部屋を自由に使っていいという許可書与えたり、それが効かず次は何でも言うことをきいてやると言ったが効果はなかった。
奥の手は好きな服を五着ほど買ってやるとつったが首を縦に振ってはくれなかった。
ついには、たまたま出張から帰ってきていた父さんに亜海菜は理路整然と一緒に暮らしたほうが言いと言いはじめ、父さんの了承を得た亜海菜に俺が渋々了承した。
「亜海菜、このダンボール何入ってるんだ?」
「それは食器とかだから割らないでね」
俺はダンボールを持ち上げキッチンへと向かい、丁寧に食器を取り出す。
二人暮らしなのでさほど食器の数は少ない。
すべて出し終わり引越しの従業員が設置しておいてくれた棚にしまう。
自分専用の茶碗とコップをまず入れ、その次に亜海菜専用の茶碗などをしまっていく。
シンプルな俺の茶碗コップに比べ、亜海菜の食器は可愛い模様が入ったものだ。
「終わったぞー、そっちはどうだ?」
自分の部屋にいる亜海菜に大声で言った。
「ちょっと、カーテン付けられないから手伝って」
まだ、中学二年生の妹は小さい。カーテンの取り付けは手が届かず出来ない。
亜海菜の部屋に入りカーテンをフックに掛けていく。
部屋は綺麗だが、服が多く今時の女子中高生だなと感じさせられる。
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