第一章 月島神社の神シオツチ降臨

19/20
前へ
/20ページ
次へ
「その気持ちはわかる。俺もそうすると思うからな」 「ばったり不良の人と会うのも怖いよね」 「月島はどう思ってるんだ?」 「分からん。でも、毎日掃除は欠かしてないと思うでい」 「直接訊いた話ではないけど神社の文句や愚痴は言ったことないらしいよ」 「根が優しい綾香に文句とかいう姿は考えられないでい」  たしかにあの優しそうな顔から文句言っている姿が想像できん。 「あと、取り壊しされかもしれないらしいよ」 「えっ!? それは本当か? あの神社が取り壊されるのか!」 「噂程度だから本当のところはわからないけど、参拝者がいないからありうるかもしれないね」 「それはけっこう月島にとっては死活問題なのでは?」 「そうだな~。でも、今から参拝者増やすって言っても難しい問題でい」 「増やせればいいのか?」 「そこまで詳しいことは分からんでい」  ここは本人に訊くしかないか。それにしても、あのダメ神はこのこと分かっているのか?  分かっていて何もしてないのはどうかしてると思う。自分の身? なのに。  オレは弁当を口に運びつつ月島神社のことを考えていた。  昨日参拝しただけなのに。自分でもこのままではダメではないか思っていた。  午後の授業は本当に眠気との戦いだ。ノートを取るもけっこうしんどい。  そんな戦いの果てにたどり着いた先は、そう放課後! 自由の身となれる放課後。  部活ある生徒はそうではないけど。帰宅部の俺は自由だ。  とは言うものの、俺は綾香にお話がある。  神社のことでいろいろと訊きたい。あいつからも話を訊く予定。  綾香は帰る準備をしている最中だった。 「月島。ちょっといい?」  普通に自然に話をかける。下の名前で呼ぶと色々と面倒なことになりそうなので苗字で呼ぶ。 「はい。なんでしょうか?」 「神社のことで話したいんだけど」 「えっ……まぁ……」  言葉に詰まった綾香に俺は大胆な言葉を言う。
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加