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「カーテン出来たぞ」
「ありがとう。お兄ちゃん」
笑みを見せる亜海菜に兄の俺でも可愛いなと思うほど。
亜海菜の笑顔にたまに逆らえないことがある。
「他に何か手伝うことは無いか?」
「大丈夫だよ」
「俺は自分の部屋にいるから、ん?」
足裏に床の感触ではない布のような感触が伝わってきた。
手にとって広げて見ると。
「……パンツ」
花柄の可愛いピンク色のパンツだった。
「……わ、悪い」
パンツを亜海菜に返すが、亜海菜は羞恥のあまり俯いたままだった。
「おにい……ちゃんの。お兄ちゃんのーーーえっちーーーーーーーーー!」
「うっ! うぉ!」
亜海菜の昇竜拳が俺の顎にクリーンヒットし、俺はそのまま後ろに倒れノックアウト。
俺の妹も成長したもんだな。昔はクマさん絵柄のパンツだったのに、いつのまにこんな大人の下着になっていたなんて。
「ふん! お兄ちゃんなんてしらない!」
最後に聞こえたのは妹の怒った声だった。
「もう~、お兄ちゃんにパンツ見られちゃったよ~」
大好きなお兄ちゃんに下着を見られてしまい、恥ずかしさの勢いで殴ってしまった。
私、香坂亜海菜は大好きなお兄ちゃんと一緒に居たくて付いて来た。
お兄ちゃんはかっこよくていつも私を守ってくれる。
小さい頃に私が男の子にいじめられた時、お兄ちゃんは一人で複数の男の子相手に立ち向かってくれた。
殴られても何度も立ち向かいいじめっ子たちを追い払ってくれた。
私はその時からお兄ちゃんは強くてかっこいいと思い始めた。
次第にその思いが強くなり今では大好きになってしまっている。
兄妹の関係には保っているから大丈夫……たぶん。
「お兄ちゃんどうしよう勢い余って殴ってしまった」
お兄ちゃんは床でのびていた。
「でも、本当にかっこいいなー」
間近でお兄ちゃんの顔を眺める私、この時間が幸せだな~。
「っん?」
「え?」
眼を覚ましたお兄ちゃんだけど、何もこんなときに!?
今、私とお兄ちゃんの顔の距離は近い。
「うぉ!?」
「きゃ!?」
お互いにビックリして距離を取った。
「ななな、なに!? 起きたの! お兄ちゃん」
「殴っておいてそれかよ!」
「うっ、ごめんなさい……」
「まぁ、俺にも落ち度はある。すまなかった」
「ううん。もういいよ」
やっぱ。お兄ちゃんは優しいな。
「さてと、私物を整理していくか」
立ち上がり私の部屋から出て行く。
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