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『おい!』
「はい」
『今、お前、顎痛いだろ?』
「ちょっと痛みはあります」
俺の顎元に手を向けた自称神様の手から光が生じた。
「あれ? 痛みがなくなった……」
『見たか! これが神の力だ!』
「すごいですね。でも、神様ってそのような態度なのですか?」
『文句あるのか!? 神様はってのは人間のためにいるんだよ! お前らこそ神様をあがめよ。最近人間は神を崇拝しなくなっている。まぁ、お前は引越ししてきた挨拶をしたのは殊勝な心がけだな』
「まぁ、昔、母に言われたので」
『これからは、お供え物は忘れんなよ』
「考えておきます」
だんだん、この神様に敬意を払うのが馬鹿らしくなってきた。
普通、神様ってもっと言葉使いなど丁寧だと思う。
『てめぇ! 考えておきますって何様のつもりだ』
「いや、やっぱり、神様ってそんな言葉使いではないと思うから」
『よーし! ガキ、神の力を思い知れ!』
戦闘の構えを見せる自称神様だったが……。
「シオツチさんどうしたのですか……?」
後ろの階段から女性の声が聞こえ振り向くと、巫女装束を身にまとった女の子が立っていた。
やっば! 俺には自称神様が見えてるけどこの娘には見えてないだろ。
明らかに変人だと思われたぞ。
「あの~、もしかして見えるのですか?」
恐る恐る訊いてくる女の子。
「えっ!? あ、いや~、その~」
『お嬢、このガキは俺のこと見えてるぜ』
この神、余計なことを…って、普通に喋ってる?
「あなたもシオツチさんが見えるのですか!?」
「あ、うん。君も?」
「はい。私も見えますよ。この月島神社の者ですから」
笑顔で答えてくれる。
可愛い。俺のハートにも春が来たぞ!
「私は月島綾香と言います。よろしくお願いしますね」
「俺は香坂祐也。よろしく」
改めて見ると黒髪は三つ編みに結んであり、巫女装束が綾香の清楚さを出している。
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