第一章 月島神社の神シオツチ降臨

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『おい!』 「はい」 『今、お前、顎痛いだろ?』 「ちょっと痛みはあります」  俺の顎元に手を向けた自称神様の手から光が生じた。 「あれ? 痛みがなくなった……」 『見たか! これが神の力だ!』 「すごいですね。でも、神様ってそのような態度なのですか?」 『文句あるのか!? 神様はってのは人間のためにいるんだよ! お前らこそ神様をあがめよ。最近人間は神を崇拝しなくなっている。まぁ、お前は引越ししてきた挨拶をしたのは殊勝な心がけだな』 「まぁ、昔、母に言われたので」 『これからは、お供え物は忘れんなよ』 「考えておきます」  だんだん、この神様に敬意を払うのが馬鹿らしくなってきた。  普通、神様ってもっと言葉使いなど丁寧だと思う。 『てめぇ! 考えておきますって何様のつもりだ』 「いや、やっぱり、神様ってそんな言葉使いではないと思うから」 『よーし! ガキ、神の力を思い知れ!』  戦闘の構えを見せる自称神様だったが……。 「シオツチさんどうしたのですか……?」  後ろの階段から女性の声が聞こえ振り向くと、巫女装束を身にまとった女の子が立っていた。  やっば! 俺には自称神様が見えてるけどこの娘には見えてないだろ。  明らかに変人だと思われたぞ。 「あの~、もしかして見えるのですか?」  恐る恐る訊いてくる女の子。 「えっ!? あ、いや~、その~」 『お嬢、このガキは俺のこと見えてるぜ』  この神、余計なことを…って、普通に喋ってる? 「あなたもシオツチさんが見えるのですか!?」 「あ、うん。君も?」 「はい。私も見えますよ。この月島神社の者ですから」  笑顔で答えてくれる。  可愛い。俺のハートにも春が来たぞ! 「私は月島綾香と言います。よろしくお願いしますね」 「俺は香坂祐也。よろしく」  改めて見ると黒髪は三つ編みに結んであり、巫女装束が綾香の清楚さを出している。
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