第一章 月島神社の神シオツチ降臨

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「祐也さんはお参りに?」 「まぁ、引っ越してきたから、これからお世話になりますと」 「そうなのですか!? 祐也さんは神様を大事にされる方なのですね」  そうだね。でも、シオツチっていうこいつは例外だけど。 「今後ともこの月島神社をよろしくお願します」  深々と頭を下げる綾香に俺は慌てる。 「いや、こっちこそ、よ、よろしく」 『あとお供え物忘れんなよ』  もう、この神様を敬う気持ちがなくなった。だって、こんな性格だ。 「もう少し人の頼み方を覚えたら考えてやる」 『てめぇ。やるのか!? あぁ』  がんを飛ばすシオツチ。 「シオツチさん。ダメですよ。お参りに来て下さった人に」  口調は柔らかくも窘めてはいる。 『お嬢。こいつは良いんだ』 「おい! 何でだよ!」 『ムカつくからに決まってるんだろ!』 「このダメ神が!」 『てめぇ俺に向かってダメ神とかぬかしやがって! やるか!?』 「やってやるよ!」  バトル開始のゴングが鳴った。  だが、神様VS人間の俺。俺の攻撃など当たる筈もなく。  拳を繰り出してもすり抜ける。 「当たるわけねぇだろ! バカが!」 「このやろう!」  当たらないことは知っているがそれでも諦めない。 「今度はこっちの番だ」 簡単に足技を掛けられ地面に落とされ、そのままプロレス技のウォールズオブジェリコを決められてしまった。 「痛ててて! ギブギブ!」  試合終了のゴングが鳴り勝者はシオツチ。 「いぇーーーーー!」  武東敬司の決めポーズをしていた。  このダメ神本当にいつかしめてやる! 「うふふ。シオツチさん良かったですね。お友達が出来て」 『「誰がこんなやつと!」』  可愛い巫女姫とは出会えたけどダメ神は余計だー。  春爛漫の空に俺は心の中で叫んだ。
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