2人が本棚に入れています
本棚に追加
月島綾香こと私は参拝に来た下さった香坂祐也君が帰った後、境内を掃除しています。
引っ越し来たばかりで神社にお参りに来て下さるとは、祐也君は本当にすごい人だなと思いました。
『お嬢。今日はご機嫌だな』
「え!? そうでしょうか?」
『ああ。さっきのクソガキが気に入ったのか?』
「い、いえ、そ、そんなじゃ……」
『おいおい。それじゃ答えてるようなもんだぞ』
「あぅ~」
私はシオツチさんの言葉で恥ずかしくなった。
「まぁ、ここんところ参拝する人がいなかったからな。来ても老人くらいだし」
「それでも、来て下さることに感謝ですよ」
ここ月島神社は住宅地が並ぶ土地にあるのですが参拝者は少ない。
特に私と同じような年代の方はまず参拝には来ません。それが時代だからと行ってしまえば仕方ない。
『若い娘なら俺は大歓迎だな!』
「シオツチさん。参拝に来た下さる人を選んではいけませんよ」
『はいはい。わかってるよ。俺は社殿の中に帰るわ。あとは頼む』
「わかりました」
シオツチさんは歩いて社殿の中へ入っていった。
夕食、俺は亜海菜と一緒に食べている。
亜海菜の料理は美味い。嫁に出しても恥ずかしくない。
今日のメニューはオムライスにポテトサラダにコンソメスープとなっている。
ちゃっかり、ケチャップに文字が書かれていて、その文字は『お兄ちゃん』と。
そこは良いとして片隅にハートマークがあるのが不思議でならない。本人曰く「練習で書いてみただけ」と。
俺のじゃなく自分のオムライスに練習しても良いんじゃないのか?
まぁ、困っているわけではないから良いけどさ。
「お兄ちゃんどこいってたの~?」
「近くを散策して神社があったから参拝してきたよ」
「へぇ~、近くに神社あったんだ~」
「大きくはないけどしっかりとした神社だったぞ。それに」
「それに?」
キョトンと首を傾げる妹。
「可愛い巫女に出会えたのさ」
「えっ!?」
世界の終わりが告げられたような顔をした亜海菜の手からスプーンが落ち金属音が叫んだ。
最初のコメントを投稿しよう!