第一章 月島神社の神シオツチ降臨

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月島綾香こと私は参拝に来た下さった香坂祐也君が帰った後、境内を掃除しています。  引っ越し来たばかりで神社にお参りに来て下さるとは、祐也君は本当にすごい人だなと思いました。 『お嬢。今日はご機嫌だな』 「え!? そうでしょうか?」 『ああ。さっきのクソガキが気に入ったのか?』 「い、いえ、そ、そんなじゃ……」 『おいおい。それじゃ答えてるようなもんだぞ』 「あぅ~」  私はシオツチさんの言葉で恥ずかしくなった。 「まぁ、ここんところ参拝する人がいなかったからな。来ても老人くらいだし」 「それでも、来て下さることに感謝ですよ」  ここ月島神社は住宅地が並ぶ土地にあるのですが参拝者は少ない。 特に私と同じような年代の方はまず参拝には来ません。それが時代だからと行ってしまえば仕方ない。 『若い娘なら俺は大歓迎だな!』 「シオツチさん。参拝に来た下さる人を選んではいけませんよ」 『はいはい。わかってるよ。俺は社殿の中に帰るわ。あとは頼む』 「わかりました」  シオツチさんは歩いて社殿の中へ入っていった。 夕食、俺は亜海菜と一緒に食べている。  亜海菜の料理は美味い。嫁に出しても恥ずかしくない。  今日のメニューはオムライスにポテトサラダにコンソメスープとなっている。  ちゃっかり、ケチャップに文字が書かれていて、その文字は『お兄ちゃん』と。  そこは良いとして片隅にハートマークがあるのが不思議でならない。本人曰く「練習で書いてみただけ」と。  俺のじゃなく自分のオムライスに練習しても良いんじゃないのか?  まぁ、困っているわけではないから良いけどさ。 「お兄ちゃんどこいってたの~?」 「近くを散策して神社があったから参拝してきたよ」 「へぇ~、近くに神社あったんだ~」 「大きくはないけどしっかりとした神社だったぞ。それに」 「それに?」  キョトンと首を傾げる妹。 「可愛い巫女に出会えたのさ」 「えっ!?」  世界の終わりが告げられたような顔をした亜海菜の手からスプーンが落ち金属音が叫んだ。
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