第5話 殺意の館(中編)

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 「逃げようか?」  あやめは、何かを確信したように呟いた。  「逃げる?」  そのまま訊き返した僕に、あやめは再び頷く。  「私達も危険になったからね」  「僕達も危険に?」  「あの子は、普通の“殺される人”じゃないの」  あの子とは、藤崎由樹菜のこと。  「あやめ、どういうことなんだ?  もう少し分りやすく教えてくれないか」   「……全員だよ。屋敷の住人と、外にいる男の全員が、あの子に殺意を抱いているの」  全員!?
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