第2話 交差する殺意(前編)

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 「例の子がいたの?」  僕の問いに、あやめは首を横に振る。  「違うけど、見つけた」  あやめの言う“見つけた”とは、殺意を抱く人間を見つけたということ。  「交差点をこっちに向かって歩いてくる  青い帽子の男の子、分かる?」  「ああ、あの中学生くらいの?」  「そう」  青い帽子を目深に被ったやせ型の少年は、大人しそうに見えた。  あの少年が、誰かに殺意を抱いているのだろうか?  少年は、僕達の前を通り過ぎると、大きな建物に入る。  そこは、大手雑貨店だった。
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