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気になる女の子は見つけられなかったけれど、あやめは、何者かに殺意を抱く少年を追いかけるようだ。
「買い物かな、何を買うんだろう」
「凶器、かな」
あやめは、僕に願望を答えると、少年を追って雑貨店に入った。
ここは1階から6階まで、生活雑貨からアーティスティックな家具までを取り揃え、喫茶店まで併設する大型店舗。
「いた」
あやめが指を動かして、さっきの少年の背中を示す。
少年が向かったのは、文房具のコーナーだった。
「文房具か」
「刃物もあるから、ね」
どうしても凶器と結びつけようと考えているけれど、単純に筆記用具やノートを買いに来ただけかもしれない。
しかし少年は、あやめの予想通り、カッターの並ぶ一角で立ち止まった。
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