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「……決闘だよ」
しばらく俯いた後、少年が返した言葉は、意外なものだった。
僕は、いじめ相手への復讐のためだと思い込んでいたからだ。
「決闘を申し込まれたんだ。
今日、ここで僕は、戦わなければいけないんだ」
少年は、辛そうに声を絞り出す。
今日、これから決闘に赴くようだ。
「でも、それは、本当は戦いたくないような言い方だね」
「戦いたくなんかないよ。でも断ったら何をされるか分からない」
断ったら何をされるか分からない?
そんな相手と決闘をするのか?
「決闘は何時から?」
「2時だよ」
「まだ1時間もあるのか」
「遅れたら怒られるから。
ここに来るときは必ず早く来るようにしてる」
んん?
「ここには何度も来ているの?」
「うん。毎週末、呼び出されてたから」
決闘する相手に対し、少年は、かなり弱い立場のようだ。
「相手は強いの?」
相手に強要された決闘。それは決闘と呼べるものだろうか。
「めちゃくちゃ強いよ」
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