第2話 交差する殺意(前編)

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 「……決闘だよ」  しばらく俯いた後、少年が返した言葉は、意外なものだった。  僕は、いじめ相手への復讐のためだと思い込んでいたからだ。  「決闘を申し込まれたんだ。  今日、ここで僕は、戦わなければいけないんだ」  少年は、辛そうに声を絞り出す。  今日、これから決闘に赴くようだ。  「でも、それは、本当は戦いたくないような言い方だね」  「戦いたくなんかないよ。でも断ったら何をされるか分からない」  断ったら何をされるか分からない?  そんな相手と決闘をするのか?  「決闘は何時から?」  「2時だよ」  「まだ1時間もあるのか」 「遅れたら怒られるから。  ここに来るときは必ず早く来るようにしてる」  んん?  「ここには何度も来ているの?」  「うん。毎週末、呼び出されてたから」  決闘する相手に対し、少年は、かなり弱い立場のようだ。  「相手は強いの?」  相手に強要された決闘。それは決闘と呼べるものだろうか。  「めちゃくちゃ強いよ」
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