第3話 交差する殺意(後編)

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 「行くわよっ!」  少女は、猛り、足を震わせている少年に突進する。  2人の間の距離が詰まり、次の瞬間!  鮮やかな蹴り上げを喰らった少年の顎(あご)が、天を仰いでいた。  「うわっ」  少年の呻き声が、こちらに届く前に、次の強力な打撃音が路地裏に響く!  少女の腰と身体の回転を効かせた拳打が、少年の顔面を捉えていた。  さらに、今度は鈍い音とともに鳩尾(みぞおち)へ、踏み込みの効いた強力な拳打を放ち、  短いスカートを気にしない蹴撃が、崩れ落ちる少年の頭を蹴り飛ばす。  「ぐ、は……」  フラついた少年の顔から、鼻血と口内を切ったと思われる血液が滴り落ちていた。
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