第3話 交差する殺意(後編)

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 「どうしたの?  一方的にやられるだけかしら!?」  一瞬にして、ほぼ決着がついたような一方的な展開に、少女が叫ぶ。  「まだ、だよ。  ちょっと……油断しちゃっただけ」  少年は、口元の血を拭って立ち上がった。  「そう。それなら続きよ」  少女は、一足飛びで少年との距離を詰めると、躊躇(ちょうちょ)のない拳打を少年の腹に突き刺す。  「がふっ」  口内に溜まっていた血を吐き出した少年だが、少女が放った右腕を両手で掴む。  「ん、なに?」  少年の反撃に、少女の表情が驚きに変わる。  「あああっ!」  少年が叫び声を上げながら、少女を掴んだまま、壁へ押しつけた。  中学生の男子。力だけなら同級生女子には決して劣らない。  といっても少年は、少女に対して格闘センスも、何より、躊躇しない覚悟の強さで圧倒的に劣っていた。  「甘いわよ」  少女の無慈悲な膝蹴りが、少年の急所を突き刺すと、少年の身体がくの字に折れる。
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