第3話 交差する殺意(後編)

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 振り向かなくても、後ろのあやめが頬を膨らませているのが分かる。  断っておくが、僕は少年に、殺意をなくしてしまうようなアドバイスをした覚えはない。  決闘に挑む少年に伝えたのは、2つだけ。  1つは、地の利を活かして準備をすること。  もう1つは、人間を止める覚悟をすること。  「人間を止める、ね」  あやめは、僕への非難ではなく、何かを納得したように呟いた。   「合格よ」  仕掛けの下敷きになっていた少女が、少年に助けられながら言った。  何を言っているか分からないという表情の少年に、少女が言葉を続ける。  「あなた、私の騎士(ナイト)になりなさい」
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