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振り向かなくても、後ろのあやめが頬を膨らませているのが分かる。
断っておくが、僕は少年に、殺意をなくしてしまうようなアドバイスをした覚えはない。
決闘に挑む少年に伝えたのは、2つだけ。
1つは、地の利を活かして準備をすること。
もう1つは、人間を止める覚悟をすること。
「人間を止める、ね」
あやめは、僕への非難ではなく、何かを納得したように呟いた。
「合格よ」
仕掛けの下敷きになっていた少女が、少年に助けられながら言った。
何を言っているか分からないという表情の少年に、少女が言葉を続ける。
「あなた、私の騎士(ナイト)になりなさい」
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