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あやめの予想通り、事件なく夕食を終えた僕達は、
一度部屋に戻った後に由樹菜の寝室に集まる約束をした。
「あやめ、どうして由樹菜に誰が殺意を抱いているか教えなかったんだ?」
客室に戻った僕は、あやめに気になっていたことを訊ねた。
「教えたいと思わなかったから」
浴場にいた時と同じ答えだ。
「それは、あの執事が殺意を抱いているからか?」
由樹菜にとって親同然の存在である執事が殺意を抱いているなら、
由樹菜のショックは大きなものになる。
「関係ないよ。本当に言いたくないと思っただけ」
言いたくない理由は何だろうか、それを考えていると、あやめの目が大きく開く。
「増えたみたい」
あやめは、窓の縁に隠れるようにして外を覗きこんでいた。
外に誰かいるのか?
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