第5話 殺意の館(中編)

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 住人全員と、さらにコウイチという男が由樹菜の命を狙っている。  僕達に罪を着せようとしているか、僕達も含め殺害しようとしているのかは分からないが、由樹菜はもちろん、僕達にも危険が迫っていることは想像できる。  それは分かっているけれど……。  「あやめ、このまま由樹菜を放っておくわけにはいかないよ」  僕は、殺意に抗う気持ちを伝えた。  これは観察者の本分を越えた行為、介入だ。  「そう。それなら彼女に伝えに行く?」  あやめの意外な答えに、僕は驚いた。  由樹菜に真実を伝えるのは、彼女を殺意から逃がすため。  それは、あやめの望む結末ではない。  それに僕達の危険も高まってしまう。  「いいのか?」  僕は、あやめの表情を窺いながら確認する。  「いいよ、気に入らないからね。  あの殺意は純粋じゃない。  だから……」
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