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住人全員と、さらにコウイチという男が由樹菜の命を狙っている。
僕達に罪を着せようとしているか、僕達も含め殺害しようとしているのかは分からないが、由樹菜はもちろん、僕達にも危険が迫っていることは想像できる。
それは分かっているけれど……。
「あやめ、このまま由樹菜を放っておくわけにはいかないよ」
僕は、殺意に抗う気持ちを伝えた。
これは観察者の本分を越えた行為、介入だ。
「そう。それなら彼女に伝えに行く?」
あやめの意外な答えに、僕は驚いた。
由樹菜に真実を伝えるのは、彼女を殺意から逃がすため。
それは、あやめの望む結末ではない。
それに僕達の危険も高まってしまう。
「いいのか?」
僕は、あやめの表情を窺いながら確認する。
「いいよ、気に入らないからね。
あの殺意は純粋じゃない。
だから……」
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