晴れのち地震

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晴れのち地震

「明日は震度2か」エス氏は天気予報に続いて、地震予報をチェックした。 「ちょっと揺れるくらいね、この辺は」エス氏の妻は爪の手入れをしながらそっけなく返した。 「週間地震予報では2日後に揺れる予定だったのに。明日に変わってるんだよ。しかも地震確率70%だぞ。ずいぶんといい加減だな」エス氏は納得いかない様子だった。 「充分じゃない。天気予報だっていまだに100%で当たるわけじゃないのに」 「天気とは違うだろ。雨が降っても傘をさせば終わる。でも地震は違う。適当な予報はしないでほしいよ」エス氏はムスッとした。 「じゃあ予報するなっていうの? それはそれで、あなたみたいな面倒臭い人が文句を言うから予報するようになったんじゃない」妻はエス氏の顔を見ないで喋っていた。  エス氏はふて腐れて自分の部屋に戻った。  いつも口論になってしまう。  あのまま喋っていれば確実に妻のカミナリが落ちる。  それはどんな天気予報よりも確率が高かった。  エス氏は家具や電化製品が揺れに耐えられるように敷いてある免震マットを念のためにチェックした。  建てたばかりの家。  ローンは気が遠くなるほど残っている。  床に傷ひとつ付けたくなかった。
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