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誰もいなくなった町を散歩するのがエス氏の休日の過ごし方になっていた。
SF映画の主人公になった気分を味わえた。
バイクの免許は持っていなかったが、無性に乗りたい気分にさせた。
背中に武器を背負っていたら、なお良い。
食料品を調達する場合、スーパーは閉店されているため、震度5以下の予報が出ている遠くの町まで買い出しに行く必要があった。
エス氏が震度7の予報が出ている町に戻っていく姿を人々は奇異な目で見ていた。
エス氏は気分が良かった。
誰もいない町を支配している気持ちになれたからだ。
恐怖に立ち向かう勇者みたいに。
これでもしも地震が来なかったら、会社だけではなく、地域全体から一目置かれた存在になるだろうとエス氏は考えていた。
対向車の来ない道路のセンターライン上を車で走りながら家に戻った。
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