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「好きです。だから、私が知らない瞬さんのこと、私、知りたいです」
さすがに言葉で伝える時は声が震えた。
頬も確実に赤く染まっている。
でも、想いを言葉にしたら、幸せな気分で胸の中はいっぱいだ。
瞬さんもそう思ってくれたらいいな。
キュッともう一度抱きしめようとすると、ゆっくりと瞬さんは顔を上げ、私の頭に静かに手を置いた。
「……桜」
「は、はい」
その私の名前を呼ぶ声が艶っぽくて低い声に驚いて、上擦った声で返事をしてしまった。
それまで小さかった胸のときめきは、今の一瞬で大きく跳ねあがったんだ。
「俺も、お前のことは好きだ」
「あ、ありがとうございます」
「でも、なにをしてもいいという権利があるのは違うと思う」
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