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でも、それは違うもの。
私だって、大好きな人ともっと触れ合いたいって心から想ってる。
だから、私は俯いている彼の頭をそっと引き寄せて今度は自分の胸の中で抱きしめた。
「私、ハル先輩に言われたから、こんなことを望んでいるんじゃないですよ?」
「……」
抱き寄せた彼の大きな身体は、一ミリも動かずそのままの姿勢で固まっている。
それはもう石みたいに。
ただ、体温だけは高熱があるんじゃないかってくらいどんどんと上昇していって、とても熱い。
「それに、瞬さんは私にそういうことをしてもいいし、なにをしてもいい権利を持ってるんです。だから、しちゃっていいと思います」
「…………」
唇にかかる彼の髪からは、普段滅多に嗅ぐことができない爽やかな整髪剤の香りが漂ってくる。
背が低い私が背が高い彼の頭を見るなんて、こういう時しかできないんだもの。
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