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腕にしがみ付いていた手は、もっと彼の身体をそばに寄せたくて首へと回した。
そして自分でも出したことがない甘い吐息と声が漏れてしまい、羞恥心に駆られる。
でも、そんなことさえも上回ってしまうくらい、もっとくっつきたいという願望は止まらなかった。
それなのに、瞬さんは私の手をゆっくりと離し、浅いため息をついた。
「もう、今日はここで……」
「……えっ?終わりですか?」
「これ以上は……」
離れた彼の顔をよく見ると、こめかみから汗が流れていて、斜め下を向いた瞳は迷っているのか酷く揺れていた。
「まだ、早いだろう」
もう首まで真っ赤になっている瞬さんは、額を抑えながらそう呟いた。
「もう少し、時間をかけて……」
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