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「すみません。僕が海外赴任になったせいで」
結婚式の後、成田まで見送りに来てくれた母と姉に、泰隆さんは何度も頭を下げた。
「良かったですよ。そうでもなければ、この子は結婚に踏み切れなかっただろうから」
姉の言葉に母もそうそうと頷く。
私が泰隆さんからのプロポーズを断り続けていたことは、二人とも知らないはずなのに。
「泰隆さん、しいのこと頼みます」
ハッとして姉を見ると、あの日と同じように怖いぐらい真剣な目をしていた。
「はい、お任せ下さい。必ず幸せにします」
背筋を伸ばした泰隆さんが、あの日の私のように大きく頷いた。
心の中でふわりと桜が舞った。
END
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