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二階の自分の部屋から、それぞれ布団一式を持って降りて。狭い和室にどう敷くかで、ちょっと揉めて。
結局、姉の言う通りに布団を敷きながら、母と顔を見合わせて苦笑した。
昔から『我が強い』と言われてきた姉は、こうと決めたら自分を曲げない。変わっていないなと思いながら、また寂しくなる。
寝る前に必ずトイレに行く私が和室に戻ると、寝ていた母と姉が布団の中でさっと膝を立てたのには笑ってしまった。
「しいちゃんは人の足も構わず踏むから」
「今はそんなことしないよ」
「また踏まれたって、お父さんがいつも痛がっていたわよね」
「そうそう」
「痛いくせに嬉しそうだった」
母がしんみりと呟くから、思わず仏壇の方を見た。
そうか。今夜は四人なんだね、久しぶりに。
やっと姉の意図がわかって、胸が締め付けられた。
私が小さい頃は狭いアパートに住んでいて、家族四人で同じ部屋に寝ていた。
三組の布団を敷いて、私は母と一緒で。
毎晩、学校であったことを話したりして楽しかった。
マイホームを夢見て寄り添いながら暮らしていたあの頃が、実は一番幸せだったのかもしれない。
父が亡くなったのは、私が中一、姉が高二の冬だった。
お父さん、遅いね。先に食べちゃおうか。もうちょっと待っててあげようよ。
ホカホカの鍋を前にして、そんなことを話していた時に鳴った一本の電話が、私たちの生活を一変させた。
交通事故。
毎日、ニュースで耳にするのに、どうしてすっかり他人事だと思っていたのだろうか。
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