第9章 #2

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『…月に…ならないでよ。僕が困るから。』 『…は、はあ…』 沖田さんの言葉の意味が分からずに 曖昧な返事をする。 『僕の中の月は近藤さんじゃなきゃ、困るんだ。』 そう呟いて沖田さんは再び視線を空に移す。 『……はい。』 私がそう返したのを合図に 沖田さんは無言になった。 私たちの間に静寂が流れ 聞こえてくるのは風や虫の音。 でも不思議と居心地は悪くなかった。 .
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