青と白

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青と白

野球が、好きだった。 それも今では昔のこと。 昔から使っているポケットラジオからは、途切れ途切れに、野球中継の音が聴こえる。 久賀諒平はため息をついてから、学ランの胸ポケットに手を伸ばした。煙草だ。 (そういえばこないだ、佐藤が見つかって謹慎になってたな…) 見つかったら面倒なことになるのは知っていたので、伸ばした手を頭の上にやった。校舎を囲んでいるフェンスに、もたれかかる。 最近は校則やらなにやらが以前よりずっとうるさくなったらしく、謹慎になった佐藤は坊主頭になった上、二週間の自宅学習を命じられていた。 (まあ、それもいいんだけどね。サボれるわけだし) 空。青い空に白い雲が浮かんでいる。灰色を抱えた入道雲が、東の空に見えた。 そういえば、もう、夏である。 校舎裏。時計の針は、十六時を差そうとしていた。 「諒平か?」 突然の声に、久賀の体はぴくりと反応した。 しわがれた声だった。自分の名前を確かに呼んでいた。
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