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ヒロくんの歌が終わった。
アルバム契約も結んでいたから、きっちり12曲。
バラードとポップスを織り交ぜた、見事な構成だった。
これなら依頼人も満足するだろう。
「いい歌うたったろ?!悪くないだろ?!助けてくれよ!なんでもするから!俺のこと好きならちゃんと彼氏になるから!」
「ほんとに?」
舞台の袖から、デコレーションケーキみたいな服装をした女が出てくる。
いや、女の子、だな。
金っていうのは本当にどこにあるのかわからねえ。
「ヒロくんの歌、すごくステキだったよ。
ヒロくんはアヤカを彼女にしたいの?」
女の子がにっこりと笑って、殴られ崩れたヒロくんの顔を覗き込む。
砂糖菓子みたいな笑い方だった。
「……え、おまえ、だれ、だよ」
ヒロくんの目がさっきとは違う恐怖に見開かれた。
「誰だよおまえ。俺、おまえのことなんか知らねえよ!おまえになんかなんもしてねえよ!人違いだこんなの!」
「うん。ヒロくんはアヤカを知らない」
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