ゲームのはじまり Ⅵ

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ゲームのはじまり Ⅵ

「キカ!あなたも逃げられない!あなたはわたしの幸せの一つだったから壊すために教えるためににに来てやったのよおおおおお」  もう、カオリの声は壊れた音響機材から出ているようだった。  不自然なミキシング、不快なハウリング。これがあのカオリ?  そのとき、だっと二つの影が飛び出してきた。  すみません、すみません、と頭を下げるそれは、カオリの両親だ。何度も家に遊びに行ったから、うっすらと見覚えがある。 「この子、大学の人間関係でいろいろあったみたいで……」  お母さんらしき人が、カオリをなだめるように腕を取りながらまた頭を下げた。 「なんだかね、高校時代がよほどよかったみたいで。そのころのお知り合いを探してはこうやってご迷惑ばかりかけて困ってるんですよ。病院に入れても抜け出して……」 「女の子なのにこんなに顔に傷までつけてねえ……」 「今回はこんなことになってすみません。ただ、一度ご挨拶に行けばもう満足なようなので、もうこちらにご迷惑をかけることはないと思います。もしものことがあればここまでご連絡ください」  そんなことを言って、二人はカオリを連れて行こうとする。  
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