怪談DJ『駐車場の子ども』

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極力、頭の中を考え事で一杯にし、今見たモノの事を締め出そうとする。 「お弁当、冷めちゃったな。美味しくないだろうな」 視線を空に向け、遠くを飛ぶ飛行機をぼんやりと見つめる。 ああ──ダメだ。 私は見てしまったんだ。 男性が開けた後部座席のどこにも、幼い姉妹の姿はなかった。 じゃあ。 じゃあ、私の聞いたあの笑い声と、2人の女の子の姿は何だったんだ? まさか、土曜日の昼日中。 明るい日差しの降り注ぐ、会社の目と鼻の先のコンビニで。 こんな体験をするとは思っても見なかった。 そして……冷えてしまったお弁当は、やはりマズかった。 了
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