邂逅

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 『わたしのお父さん』  わたしのお父さんは、西町で小さな喫茶店をやっています。お店には古い本がたくさん置いてあって、お客さんは好きな席でコーヒーを呑みながら、自由に本を読むことができます。  お客さんはいつも同じ顔ぶれです。新しい人はあまり来ません。本を読みたいお客さんのために、お店ではB.G.M.をかけていません。聞こえるのは本をめくる音、お客さんとお父さんの息づかい、コーヒーを淹れる音だけです。  変わった店って思うかもしれません。 でもじつは、お父さんがカウンターの内側で、iPodに小さなスピーカーをつなげて、コール・ポーターのスタンダードナンバーをこっそり聴いていることを、わたしは知っています。  お父さんがお店で出している、冬限定の白いホットチョコレートは、クラスのみんなにも大人気です。  さっき書いた通り、うちは子どもが気軽に入ってこれるお店とは違います。でも、お父さんのホットチョコレートが飲みたいから、一緒に勉強するを口実に、みんなつれ立ってお店にやってきます。 「ほかのお客さんの迷惑にならないように」が、お約束です。  お父さんの淹れた、ふんわり甘い香りのするホットチョコレートを呑みながらだと、いつもより宿題がはかどるような気がします。 おわり ※大変よく書けています。先生も、滝沢さんのお父様が淹れる白いホットチョコレートを呑んでみたくなりました。 一点だけ注意があります。中学生になったのですから、「わたしのお父さん」ではなく「私の父」と書くようにしましょう。
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