2月14日

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「今年は…これだけなんだ」 ユウが控えめに掲げた手には、濃い赤色の紙で包まれ、金に光るテープで飾られた平たい箱があった。 「は?一個?」 ダイキの笑顔が一変、目を見開き口は半開きになっている。 「うん…」 「どうしたんだよ。去年は数えんのも面倒なくらいあったじゃねえか」 「分からない…」 ユウは掲げた手を下ろし、箱を床に付けた。ダイキは内緒話でもする様に上半身を乗り出して、ユウに接近する。 「バラしたのか?チョコ無理だって」 ユウは小さく、首を左右に振る。 「それは無い。誰にも話してないし…」 ダイキは元居た場所にドカッと座り、腕を組んだ。ユウはうつろげな目で、自分とダイキの間の床を見ている。 「僕にも何が何だか分からないんだ」 「んだよー、折角メシ抜いてきたってのによー」 声を大きくして不満を主張するダイキに、ユウはススッと床を這わせる様にして、赤い箱を差し出した。 「とにかく、これはダイキが食べて。僕はアレルギーだからね」 「おう…」 ダイキが赤い箱を受け取ると、ユウは立ち上がり、クローゼットを目指してフラフラと歩いた。 「言っとくけど俺はぜーったいアレルギーの事バラしてないぞ。何てったって俺達親友だからな」     
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