2月14日

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クローゼットの前に立ったユウは、ダイキに背を向けたまま、制服のボタンをひとつひとつ外していく。 「そうだね。去年、女子から貰ったチョコを代わりに全部食べてくれたよね」 「直接言わねえのか?チョコ無理だって」 黒い上着の袖から腕を抜く途中で、ユウの動きが止まる。 「…直接チョコを手渡ししてくる子も居る。食べれないからってはね退けたら悲しむかなって思うと、ね」 「ユウは優しいよな。んでモテる」 力説する様にダイキが言うと、ユウが脱衣を再開し、黒い上着を脱ぎさった。 「モテる…筈なんだけどな。今年は一個だけか」 ダイキが赤い箱を顔の前まで持ち上げ、手首をひねって箱を観察している。 「まっ!変にモテても迷惑だし気にすんなよ!」 ダイキは笑顔で立ち上がり、ユウの背中に近付いた。肩を叩いて励まそうとしていたのだが、ユウが振り返ったのでそれは出来なかった。 「迷惑はしてないけどね、ちょっと気になるな。嫌われる様な事はしてないと思うんだけど」 「嫌われたりしてねえよ。何てったってユウは優しいからな!」 ダイキの力強い笑顔に、ユウもつられて微笑んだ。 「ありがとう。そう言って貰えると嬉しいよ」 「おう!」と返した所で、ダイキの腹がググーッと鳴った。 「一個じゃ足んねえから、今日はもう帰って何か食うわ」     
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