セピア色の君

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足の裏が真っ黒で、爪の中に砂が入って、指の間にザラザラした感触が残ってキモチがワルイ。 あたしとゆうたは、公園の蛇口で足を念入りに洗った。 「あー、やっぱりまだキモチワルイ。ほら、つめの中のやつ、取れないー。イヤだー」 「サキがまたやりたいって言ったんじゃん」 「ゆうたが最初に始めたんですー」 サキだろ、ゆうたですー、サキだろ、ゆうたですー、エンドレスで続く。 あたしたちは、家が隣同士で、お互いひとりっ子だったからか、物心ついたときからいつも一緒に遊んでいた。 ゆうたとは、気心の知れた幼馴染っていう仲。 あたしと同じ歳だけど、ゆうたはいつも落ち着きがないって先生から叱られてる。 でもね、ゆうたのステキなところをあたしは結構知っている。 クリクリ頭で毛は短いのに、触ると柔らかいブラシみたいに気持ちがいいの。 そして、ゆうたが面白いこと見つけたときは、その瞳がビー玉みたいにキラキラ光ってとってもキレイなんだ。 だから、あたしはゆうたと一緒にいるのが、結局のところ好きなんだ。 この日は日曜日で小学校も休みだから、一緒に近所のいつもの公園で、ゆうたがあみだした『スライムごっこ』をやっていた。 砂場に水を入れてドロドロになったところを、はだしでグチャグチャに踏みまくる。 ただそれだけ。 あたしは、もう小学校三年生だし、バカバカしいと思っていた。
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